・工務店と設計事務所ってどう違うんだろう?
・工務店・設計事務所が合ってるのはどんな人なの?
ネットで情報収集していると、様々な意見があり混乱しますよね。
今回は工務店と設計事務所について、お伝えしていきます。
この記事を担当します、あかばねです。
- 二級建築士
- 地元工務店にて勤務経験あり
- 自身も2018年に家を建てる
結論からお伝えすると、工務店・設計事務所の線引きはあいまいで、やっていることや主な流れに大きな違いはありません。
そこで、この記事では工務店・設計事務所をひとくくりにして、ハウスメーカーと比較しながら解説していきます。
工務店・設計事務所が合う人はこんな人です。
- 地域の特性に合った家づくりを検討している人
- 取り入れたい設備やデザインを提案できる人
- 会社の良し悪しを判断できる人
その他にも、工務店・設計事務所のメリット・デメリットや、選ぶ際のチェックポイントなど解説していきます。
- 工務店・設計事務所のメリット・デメリット
- 工務店・設計事務所が合っている人
- 工務店・設計事務所を選ぶ際のチェックポイント5つ
読み終わる頃には、工務店または設計事務所のどちらに依頼すべきか明確になります。
では、詳しく見ていきましょう!
自分が建てたい家はどういう会社があっているのかを見つけて失敗しない家づくりを目指してくださいね!
建築会社の違いは「 建築会社の種類は3種類!家を建てるならここに頼もう!」で紹介しています。
さらにハウスメーカーの特徴も知りたい!という場合は「 【大手メーカー13社の特徴】ハウスメーカーのメリットやデメリット・おすすめな人も解説」の記事で紹介しています。
目次
まずお伝えしておきたいのが、建築会社は主に3つに分類されるということです。
それぞれの特徴を以下の表にまとめました。
ハウスメーカー | 工務店 | 設計事務所 | |
---|---|---|---|
特徴 | 知名度やブランド力、土地探しや資金計画なども 相談可 | ・地域の風土や気候に合わせた設計 ・設計、施工、アフターサービスまで自社で行う | ・デザイン性の 高い家 ・中立的な工事監理をおこなう |
コスト | 研究開発費、人件費、広告宣伝費がかかるため高い | ・ 予算に応じて 対応できる ・一般的にハウスメーカーより安い | ・設計監理料が 入るため高い ・設計の工夫次第で安くすることも可能 |
建物の建築費 (相場価格) | 3,000万円台 | 2,000万円台 | 2,000万円台 ~ +建築費の10~15%(設計監理料) |
設計の自由度 | プランの中から 選択する セミオーダー式 | ・ゼロから 自由に設計する フルオーダー式 ・慣れた工法や 得意なデザインに 制限される場合有 | ゼロから 自由に設計する フルオーダー式 |
平均的な工期 | 3~4ヶ月 システム化されているため短い | 4〜5ヶ月 資材を現場で 加工するため長い | 5~6ヶ月 内装もこだわる ため施工に時間が かかる |
家の品質 | 標準化された 一定の品質が 保証されている | 工務店による | 設計事務所の 建築士が工事監理 をおこなうため 一定の品質が 保たれる |
アフター メンテナンス | 保証やサービスがメニュー化 されていて明確 | 地域密着型 ならではの身近で 細やかな対応 | 施工した工務店がおこなう |
詳しくは、『建築会社の種類は3種類!家を建てるならここに頼もう!』の記事で解説しています。
次に、工務店と設計事務所の違いをみていくよ。
工務店・設計事務所の仕事内容は、基本的に図解のように分かれています。
設計事務所が加わって設計や工事監理をする違いはありますが、やっていることや主な流れは工務店と大きな差はありません。
実際に地元建築会社を探してみると区別がつきにくいです。
そこで今回は、「地元の建築会社で建てたい!」という方向けに、工務店・設計事務所をひとくくりにして特徴をお伝えしていきます。
ハウスメーカーと比較する形で、まとめてみました。
項目 | 工務店・設計事務所 | ハウスメーカー |
---|---|---|
コスト | (4.0 / 5.0) | (2.0 / 5.0) |
設計の自由度 | (4.5 / 5.0) | (3.0 / 5.0) |
工期 | (3.5 / 5.0) | (5.0 / 5.0) |
品質 | (3.5 / 5.0) | (4.0 / 5.0) |
保証・アフター体制 | (3.5 / 5.0) | (5.0 / 5.0) |
ハウスメーカーに比べて、一般的にコストは割安です。
しかし、見積もりの明細がおおざっぱで不明瞭な場合もあるので要注意。
数量が『一式』の項目は要注意!
こまかい部分までチェックするようにしましょう!
地元工務店は、自由度の高い在来工法が多くみられます。
ハウスメーカーよりも、細やかな要望に対応可能です。
設計事務所においては、暮らしの工夫やアイディアをたくさん持っているので、要望をしっかりと形にしてもらえます。
打ち合わせ期間は長くなるけど、納得できるまでじっくり検討できるのがいいね!
ハウスメーカーのように、建材を工場で機械加工して現場へ持ってくることができません。
そのため、現場加工が多くなり、ハウスメーカーより工期が長くなってしまう傾向にあります。
現場加工の多い工務店の場合は、職人の腕によって品質が左右されてしまうのが現状です。
口コミなどで、職人さんの腕についても情報を集めておこう!
保証に関しては、 『建築会社は引き渡しから10年間、瑕疵担保責任を負うこと』が住宅品質確保促進法(品確法)で定められています。
でも、こんな不安ありませんか?
万が一、10年以内に建築会社が倒産してしまったらどうするの!?
そういう場合に備えて、建築会社は『住宅瑕疵担保責任保険などの加入で資力を確保すること』が義務付けられているんです。
それ以外について、それぞれの特徴をまとめてみました。
- ハウスメーカー
50年保証など大手ならではの長期保証が売り。アフターメンテナンスも自社でやることが多い。 - 工務店
1年・3年・5年など、工務店により点検期間や内容は様々。地元密着なので何かあればすぐに対応してもらえる安心感がある。 - 設計事務所
施工会社がおこなうので、明確な保証期間などは決まっていない可能性が高い。
工務店・設計事務所のメリットは以下のとおりです。
- 地域の特性に合った家が適正価格で建てられる
- 設計士とゼロから打ち合わせができる
- 担当者の異動が少ない
それぞれみていきましょう。
地元工務店は、その地域の様々な情報を持っています。
- 気候や湿度
- 過去の積雪量・降水量
これらの情報から、必要以上の設備を外しコストを抑えている工務店が多いです。
だから、地域に合った性能の家を適正価格で建てられるんですね。
また、土地情報にも詳しいことが多いです。
- 災害が起こりやすい地域
- 交通事故が多い道
- 団地ができる前はどんな土地だったかなど
ネットや広告に掲載前の土地情報を、いち早く手に入れていることも!
ハウスメーカーでは、事前に用意されたプランをベースに、オプションなどでカスタマイズしていく流れが多いです。
それに対し工務店・設計事務所は、間取りや内装・外装はもちろん、使用する部材や設備など細部まで反映することができます。
- 間取りからインテリア・設備まで、施主の細かい要望を形にしてくれる
- 土地を最大限に生かした設計ができる
- 唯一無二な家づくりができる
『設計事務所』と看板を掲げている会社は、特に期待できます。
狭小地や傾斜地の場合は、ハウスメーカーでは実現できないような住みやすい住宅を提案してくれることが多いよ。
ハウスメーカーでは、転勤や異動により『建築後に担当者が変更』なんてこともしばしば。
建築中は、一緒に考えて・悩んで・相談して…完成後は、一緒に喜んでくれた担当者さん。
その担当者さんが変更になるなんて、なんだか悲しくないですか?
個人事業の会社だからこそできる密接な関係は、プライスレスなメリットです。
気にされない方は特に問題ありませんが、私はいつまでも担当者さんと繋がっていたい派です!
工務店・設計事務所のデメリット は以下のとおりです。
- 倒産のリスクが高い
- モデルハウスやカタログなどが少なく情報が集めにくい
- ネームバリューがない
それぞれみていきましょう。
個人事業の会社であれば、もちろん資金繰りがうまくいかなかったときに倒産してしまうリスクがあります。
InstagramやTwitterでもちらちらと見かけるこの倒産問題…
・電話も繋がらない。
・夜逃げしてしまった。
など、ゾッとする内容が結構出てきます。
倒産のリスクに関しては、初めにきちんとチェックすることが大切です。
詳しくは後述する、工務店・設計事務所を選ぶ際のチェックポイントで解説します。
ハウスメーカーに比べると、どうしても情報が少なくなってしまいます。
実際に建てた家を見られる場としては、完成見学会があります。
運がよければ、施主の話も聞けるかもしれません。足を運んでみましょう。
実際に住む家を見せてもらえるので、とても参考になりますよ!
ネームバリューとは『名前が世間によく知られていること』です。
では、ネームバリューがないことでどのようなデメリットがあるのでしょう?
それは、売却時の価格です。
世間によく知られたハウスメーカーの家よりも、売価が下がってしまうことが多いんですね。
よく中古物件の販売ページに
「〇〇ハウスの家!」
「〇〇ホームの物件です!」
など書かれているのを見たことはないですか?これが、ネームバリューの力です。
売却する可能性が高い場合は、ハウスメーカーを候補に入れるのもありかもしれません。
結局、工務店・設計事務所みたいな地元建築会社が合う人ってどんな人?
これまで解説した特徴からも以下に該当する人が合う人です。
- 地域の特性に合った家づくりを検討している人
- 取り入れたい設備やデザインを提案できる人
- 会社の良し悪しを判断できる人
地元工務店は、その地域の特性や起きやすい経年変化を熟知しています。
そのため、地域の特性に合った提案を適正価格でしてくれるでしょう。
私は、地元ではない土地での建築でした。
なので、その地域の情報に詳しい会社に魅力を感じたよ!
ハウスメーカーのように規格住宅ではないため、自分から取り入れたい設備やデザインの提案をしていく必要があります。
こだわりがなく、選択肢の中から選びたい人は、規格住宅を扱っている建築会社のほうがいいかもしれません。
ここは重要です。契約後、もしくは建築中に
・電話も繋がらない。
・夜逃げしてしまった。
なんてことになったら大変!
うまい言葉だけで判断せず、安心して家づくりを任せられるかのチェックが大事になります。
工務店や設計事務所を選ぶとき、どこを見て判断したらいいんだろう?
以下のポイントを参考にしてみてください。
- 会社として安定しているか
- 会社理念に共感できるか
- コミュニケーションが円滑にとれるか
- 技術力はあるか
- 会社の雰囲気はどうか
それぞれ解説します。
まずは『施工棟数』をチェックしてみましょう。
過去10年ほど施工棟数が安定して多ければ、経営状況も安定しているといえそうです。
次に『住宅完成保証制度に加入しているか』のチェックです。
住宅完成保証制度とは?
事業者様の倒産等により工事が中断した場合に、発注者様の負担を最小限に抑えるため、住宅保証機構が増嵩工事費用や前払い金の損失の一定割合を保証するものです。
また、発注者様の希望により工事を引き継ぐ事業者様をあっせんします。
住宅保証機構株式会社HPより
一定の経営水準を満たしている会社のみ、加入できます。
つまり、倒産寸前の会社は入れない。
加入していれば、安心材料のひとつになるね。
会社理念を見てみましょう。
下記は、実在する工務店の理念です。
ランダムにピックアップしてみました。
- 人と自然の調和
- 地域社会と真心でおつきあい
- 「住まい」を通じて関係するすべての人たちと共に幸せになる
- ものづくりを通して幸せを
- 最良の建築を通じて、社会に貢献する
見出しのみですが、あなたがより共感できる理念はどれでしょうか?
深く共感できる理念であれば、考え方の根底が同じということなので、後々満足度の高い家づくりに繋がります。
家づくりの過程では、様々な打ち合わせや事務手続きがあり、担当者とは何度となく顔を合わせます。
建築後も長いおつき合いになるため、コミュニケーションが円滑にとれるかはとても重要です。
- 施主の意見をきちんと聞く姿勢があるか
- 自社意見の押しつけになっていないか
- 打ち合わせ内容がしっかり伝わっているか
などチェックしてみましょう。
長く安定して経営している会社には、腕のいい職人がそろっています。
実際に建てた家を見ることができれば、仕上がりの丁寧さ・正確さなど、ある程度の技術力を確認できます。
完成見学会などは積極的に参加しましょう。
実際に足を運び話をしたり、社員の会話を聞いたりすることで様々なことがわかります。
その中で『だらしなさ』を感じた場合は要注意。
第一印象で『だらしない』会社は、工事もだらしない可能性が大きいです。
- 家に傷をつける
- 現場が汚い
- 工期を守らないなど
雰囲気の良い会社は、社員の関係性も良好なことが多いです。
関係性の良いチームで、素敵な家をつくりたいですね♪
- 建築中の現場見学でのチェックポイントは?
- 設計事務所に『設計のみ』を依頼できますか?
- 建築会社の断り方は?
- 建築中の現場見学でのチェックポイントは?
- 現場が整理整頓されているかチェックしましょう。
主に整理整頓されているか見てみましょう。
- きちんと仮設工事がされ、関係者以外現場に入れないようになっているか
- 仮設トイレなどの位置が、近隣に配慮されているか
- 資材が雨ざらしになっていないか
- 工事現場がきれいに整頓されているか
- タバコの吸い殻などが落ちていないか
『だらしなさ』を感じる場合は要注意です!
- 設計事務所に『設計のみ』を依頼できますか?
- 可能ですが、引き受けてくれる設計事務所は少ないかも。
施工は親戚の工務店に頼みたいから、設計だけしてもらえないかな?
設計事務所の仕事内容は、『設計+工事監理』がセットになっているので『設計のみ』で引き受けてくれるところは少ないかもしれません。
理由としては、建物に不具合が生じた場合、監理していないにもかかわらず責任を追及される可能性があるからです。
やはり『設計+工事監理』で依頼した方が安心かも。
- 建築会社の断り方は?
- 正直に伝えるのが一番です。
良い断り方ってあるのかな?
最終的に1社に絞るとき、断る必要がでてきますよね。
みなさんどのように断っているのか、アンケートをとりました。
素直に他に決めたと伝える!
正直に断るのが一番スッキリするし、お互いのためになりますね。
顔を見て直接断りにくい場合は、電話やメールでお断りしよう。
工務店と設計事務所について、お伝えしてきました。
工務店と設計事務所。
分類上での仕事内容は分かれていますが、やっていることや主な流れは、工務店も設計事務所も大きな差はありません。
地元建築会社を探す場合、工務店と設計事務所はひとくくりと考えていたほうがいいですね。
工務店・設計事務所のメリットとデメリットは、以下の通りです。
- 地域の特性に合った家が適正価格で建てられる
- 設計士とゼロから打ち合わせができる
- 担当者の異動が少ない
- 倒産のリスクが高い
- モデルハウスやカタログなどが少なく情報が集めにくい
- ネームバリューがない
地域の特性に合った家を建てたい方は、工務店・設計事務所などの地元建築会社がおすすめです。
情報が少なく探すのは大変ですが、きっとあなたにピッタリの会社があるはず!
探し方については、『【安い理由は?】ロースト住宅ってやばい?メリットとデメリットを解説』が参考になります。